●このDNにちょくちょく登場するH氏は数学者さんなのです。
そんなH氏がEXCELに面白い関数があると教えてくれました。
それが、



   HYPGEOMDIST関数



でございます。
この関数のヘルプを見ると使用例が書いてあります。
なるほど、


60枚のカードが入ったデッキがあるとします。60枚のうち24枚は土地で36枚は呪文です。
このデッキから10枚のカード(先手初手7枚+4ターン目までのドロー3枚)を無作為に抽出するとき、その中の4枚が土地である確率はいくらか?


なんて計算が簡単にできそうです。


この計算では、ちょうど4枚の場合の確率が出てきます。
つまり、4ターン目までに土地が引きたいけど、引きすぎるのも嫌だから何枚ぐらいデッキに入れると何%で引けるのか知りたい。
って時に役に立つのです。

だって4ターン目まで100%必ず土地が置けるようにしたいのであれば、



   デッキ全部を土地にすれば100%4ターン目まで土地を置く事が出来ます!



しかしそれではゲームになりませんです。はい。

やはり4ターン目まで順調に土地を置きたいけど、土地ばかり引きたくも無い。
なので4ターン目に土地がちょうど手札に4枚来る(呪文が6枚来る)確率が高くなるような配分はどんなもんなんだ?

って事が知りたくなるわけです。
でもってこの関数はそれを知る事のできる関数なわけです。



では早速計算してみましょう。



 60枚デッキに24枚の土地の場合、4ターン目までに土地が4枚置けるのは何%になるのか?



土地を24枚入れた状態で4ターン目(つまり初期手札7枚+3ドローの10枚引いた場合)にちょうどちょうど4枚土地を引いてくる確率をHYPGEOMDIST関数で計算してみます。

標本成功数=4(土地を4枚引く)、標本数=10(10枚のドロー先手の場合)、母集団の成功数=24(成功=土地の枚数)、母集団=60(デッキの枚数)として計算すると…。

  =HYPGEOMDIST(4,10,24,60)
  (↑これをEXCELのセルに書けばOK)

  HYPGEOMDIST(4,10,24,60)≒0.27452092(小数点以下8桁まで計算してみた)≒27.5%


となります。
つまり4ターン目にちょうど土地を4枚引く確率は約28%と言うことですね。
うん。意外と低い・・・と思っちゃいましたが、よくよく考えると5枚引いている場合も、6枚引いている場合もあるわけで、それらの確率をあわせるとそこそこの確率になりそうです。
なので10枚引いた場合の各枚数の確率を調べてみましょう。
(全て小数点以下9桁まで)

0枚:0.003371446 ≒ 0.3%
1枚:0.029968405 ≒ 3%
2枚:0.110776067 ≒ 11%
3枚:0.22409871 ≒ 22%
4枚:0.27452092 ≒ 28%
5枚:0.21253232 ≒ 21%
6枚:0.10515922 ≒ 11%
7枚:0.03277690 ≒ 3%
8枚:0.00614567 ≒ 0.6%
9枚:0.00062432 ≒ 0.06%
10枚:0.00002601 ≒ 0.002%

となります。
当然全部の値を足すと1(つまり100%)になりますね。当たり前なのになんかスゴイ。

で、各枚数の確率を見てみると・・・4枚の確率が最も高い=4ターン目までに3枚引くよりも、5枚引くよりも、4枚引ける可能性が一番高いと言うことがわかります。


まぁ実際は初手に土地0または1枚ではマリガンでしょうし、初手がオールランドや土地6枚などでも流石にマリガンでしょうからね。

ちなみに4ターン目に4枚以上土地を持っている確率は、4枚から10枚までを足せばいいのですから


 0.63178537≒63%


となりますね(これであってるはず多分)
ようするに土地24枚デッキの場合、6割強で4ターン目までスムーズに土地が置けるということです。
これを高いと見るか低いと見るか。

37%で3マナで止まるのか・・・意外と高いなぁ・・・。
でも5ターン目(つまり11枚ドローした場合)に4枚土地を引く確率を計算すると、


 0.72589955≒73%


つまり7割強で5ターン目には4枚土地が並ぶと考えると、ちょうどいいような気もしますねぇ。



ではデッキに土地が25枚だった場合はどうでしょうか?

0枚:0.00243493
1枚:0.02341282
2枚:0.09365126
3枚:0.20514086
4枚:0.27234218
5枚:0.22876743
6枚:0.12299324
7枚:0.04172985
8枚:0.00853565
9枚:0.00094841
10枚:0.00004336

む?こちらも4枚の確率が高いデス。
しかし先の結果より5枚目以降の土地が手札にある確率が上がっていますね。

ちなみに4ターン目に4枚以上土地を持っている可能性は


 0.67536012≒68%


なるほど。5%も違うのか。
1枚違うだけで、随分高く感じますね。


土地が26枚の場合は(僕の好きだったジャンドは26枚が標準でしたねぇ)

0枚:0.00173924
1枚:0.01808807
2枚:0.07826570
3枚:0.18551869
4枚:0.26668312
5枚:0.24277360
6枚:0.14161793
7枚:0.05220938
8枚:0.01162474
9枚:0.00140906
10枚:0.00007045


4ターン目に4枚土地がある確率は


 0.71638830≒72%


こりゃかなりの確率です。
マナ加速無しでも4ターン目にはスムーズに《血編み髪のエルフ/Bloodbraid Elf》がプレイできそうですよ。
なるほど。だからジャンドは26枚だったんだな。ためになるなぁ。



もちろんデッキの枚数が変わっても計算できます。
例えばリミテッドの場合、デッキの枚数が40枚ですから、

・土地が17枚の場合
標本成功数=0~10、標本数=10(10枚のドロー先手の場合)、母集団の成功数=17(成功=土地の枚数)、母集団=40(デッキの枚数)として計算すると…。

0枚:0.001349675
1枚:0.016388908
2枚:0.078666756
3枚:0.19666689
4枚:0.283431695
5枚:0.245640802
6枚:0.129284633
7枚:0.040632313
8枚:0.00725577
9枚:0.000659615
10枚:0.000022943

4ターン目までに土地を4枚以上引く確率は約71%


・土地が16枚の場合
標本成功数=0~10、標本数=10(10枚のドロー先手の場合)、母集団の成功数=16(成功=土地の枚数)、母集団=40(デッキの枚数)として計算すると…。

0枚:0.002313728
1枚:0.024679767
2枚:0.104117765
3枚:0.228650779
4枚:0.288989179
5枚:0.219023378
6枚:0.100385715
7枚:0.027315841
8枚:0.004190498
9枚:0.000323903
10枚:0.000009447

4ターン目までに土地を4枚以上引く確率は約64%


・土地が18枚の場合
標本成功数=0~10、標本数=10(10枚のドロー先手の場合)、母集団の成功数=18(成功=土地の枚数)、母集団=40(デッキの枚数)として計算すると…。

0枚:0.002313728
1枚:0.024679767
2枚:0.104117765
3枚:0.228650779
4枚:0.288989179
5枚:0.219023378
6枚:0.100385715
7枚:0.027315841
8枚:0.004190498
9枚:0.000323903
10枚:0.000051622


4ターン目までに土地を4枚以上引く確率は約77%


となります。
ちなみに土地じゃなくて、例えば、


 「2マナの生物を2ターン目までに1枚引きたい。」


とか、


 「4ターン目までに3マナ以下の生物を2枚以上引きたい。」


なんてのも標本成功数や標本数などを変更することで計算出来ます。
暇な時にやってみると良いかもしれませんね。

おっとここで大事な事を書き忘れていた。
この計算では、



  フェッチランドやマナ生物についてはまったく考慮しておりません。



  それとタップインランドについても考慮して無いです。



4ターン目に4枚目の土地を引いたはいいけど、タップインランドなので4マナ出無いんだが・・・と言われても困ります。

きっと考慮した場合の計算式についてはH氏が教えてくれるでしょう。

それにしても確率って難しいですね。
算数も怪しい私には教えてもらった事を反芻する事で精一杯ですなぁ。

まぁとにかく、少なくとも何ターン目に何を何枚引きたいかなんて言うのは、



  気合だけではどうにもなら無い



と言うことだけは理解できたような気がします。



ちなみに私は計算とかホント苦手な人なので、かなり根本的な部分で間違っている可能性が有ります。
H氏からも、



  間違った事を書いてあったらちゃんと指摘してあげますからまずは書いてみてください。



と以前に言われた(ような気がした)ので書いてみました。
まぁこういう関数がありますよってご紹介だと思っていただければいいかと思いますです。



つーか。
H氏がDN始めれば全て解決なんだよなぁ・・・チラッ。

ちなみに内容について間違いが少なければそこだけ修正。
間違いだらけだった場合は紛らわしいので削除いたしますです。




でわ。

コメント

listener
2012年3月29日14:58

なんというタイムリーな記事!
しばらく土地議論をしようと思っていたので
ありがたく使わせていただきます。

のぶ
2012年3月29日15:07

これはいい記事!!

しょっとこ
2012年3月29日15:39

おお、Hypergeometric distributionってやつですね、、、懐かしい。
僕もよくエクセルの関数を使って、自分のレアの引きの弱さを納得させてますw

とりのみ
とりのみ
2012年3月29日17:25

でも気合いがあればミスの連鎖は断ち切れると思いますよ。

エクセルも関数も詳しくないんですが「何枚以上引ける」とかを一発で計算する方法はないんですかね?

だうと
2012年3月29日19:36

関数で計算できるのはいいですね~
私は手で計算してたっていうのに…

ままま
2012年3月29日22:08

>デッキ全部を土地にすれば100%4ターン目まで土地を置く事が出来ます!
10枚引いていいってことは6枚スペルで54枚土地でも100%だと思います。
え?そんなこときいてない?すみません・・・。

しかし1枚で結構変わりますね。

スタお
2012年3月30日11:18

listener様>DNのエントリを見たら土地の話になっていたので、昔に書いたけど掲載していなかったものを引っ張り出してきました。



のぶ様>参考にしてもらえれば嬉しいです。



しょっとこ様>私も引きがおじいちゃんなので、毎度この確率の外の世界で戦っております。



とりのみ様>そう気合いがあればなんでも出来る。気合だ!気合だ!気合だ!気合だーっ!
ちなみに一発で計算するとなるとちょっとめんどくさくなる。



だうと様>手計算とか私には無理ですね・・・。確実に間違えます。



ままま様>そうなんです。結構1枚で変わるんですよね。計算してみると意外なことがわかって面白いです。

Hotmilk
2012年3月30日17:53

水を差すようですが、HYPGEOMDIST関数では、
「60枚中土地24枚デッキから、【一枚引いて戻す】ことを指定回数繰り返した結果」
を返してくれるみたいです。
タップインランドやフェッチ、キャントリップ等を全く考慮しないことを考えると、叩き台としては十分な結果とは思いますが。

Hotmilk
2012年3月30日17:59

すいません、上のコメントは間違いのようですので無視してください。

スタお
2012年3月31日9:45

Hotmilk様>一瞬あせりましたが、とりあえず間違ってなかったようで良かったです。
これからも気になるところはどしどし突っ込んでくださいね。

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